よく“海藻“が、毛髪の成長を促進したり、髪を黒くするなど、髪に特化してよい食物だと思われている方がおられますが、残念ながらこれには科学的根拠はありません・・・。(海藻類に含まれるヨードやミネラルが毛髪の生成に必要な栄養素であることは間違いではありません。)
毛髪の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。
ケラチンは18種類のアミノ酸から構成されていて、中でもいちばん多いのが含硫アミノ酸(分子内に硫黄成分を持つアミノ酸)のひとつ、「シスチン」です。
このシスチンは、ほとんど体内で合成することのできない必須アミノ酸(動物が生命を保つために必要なアミノ酸のうち、体外から摂取しなければならないものの総称。人間の場合は、成人で8種類。)です。
つまり、食事からとるしかありません。
シスチンを含むタンパク質が豊富なのは、豆類や肉類、穀類です。特に大豆は、良質のタンパク質に富んだ食品であると同時に、女性ホルモンのエストロゲンと分子構造が類似し、似た働きをする“大豆イソフラボン”の摂取も可能となります。
*大豆イソフラボン・・・毛周期を整えるために大切な細胞成長因子の分泌を促し、髪の成長に効果を発揮します。また、加齢による薄毛の原因とされる“活性酸素“に対する抗酸化作用を持ち合わせています。
摂取したタンパク質をからだの中で有効に利用できる形に変える役割を果たすのが、「ビタミンB6」(イワシ・サンマ・サバ・マグロなど)です。
毛髪の成長を促す作用のある「ビタミンB2」(レバー・納豆・牛乳など)も積極的に摂りたい栄養分です。
毛根の血行促進の役目を担う栄養素としては「ビタミンE」(黒ゴマ・ピーナッツ・アーモンドなど)です。ビタミンEは、血管を老化させる過酸化脂質の生成を抑えたり過酸化脂質を分解して、血液の流れをスムーズにする働きがあります。
また、「亜鉛」(牡蠣・牛肉・ナッツ類など)は、細胞の新陳代謝を活発にし、ケラチンを生成。髪の成長を促します。また、FAGAの原因物質とされているDHT(ジヒドロテストステロン)の産生に関与する、5-αリダクターゼを抑制する効果もあるといわれています。
他にも、ビタミンAやビタミンB1、ミネラル、コラーゲンなど・・・。
毛髪の細胞は、必要なエネルギーや栄養素を一定のペースで取り込み、遺伝子に組み込まれたプログラムに沿って毛髪を生成します。
毛髪に限らず、身体の細胞が増殖するには、充分なエネルギーと栄養素が不可欠です。
この栄養素が不足しないよう、バランスのとれた食習慣を心がけましょう!(^_^)